初恋の向こう側
逢坂さんが出かけて間もなく、立ち上がって愛莉が言った。
「あたし達、ちょっと散歩してくるね?」
隣にいるオサは ”あたし達” の意味がわからず、肉を頬張りながら愛莉を見上げる。
するとすかさず「理!」と叱咤され、おまけに襟首まで摘ままれて強制連行されてった。あっという間に。
「……」
なんか、すっげえ不自然じゃなかった?
そして、ヒロと二人っきりになり最初に口にする言葉に迷っていたらヒロが言ったんだ。
「話す順番を間違えないでよ?」って。
言ってる意味がわからなくて、それをそのまま訊ねたら、何故か睨みつけられて「バーカ」なんて言葉まで浴びせられた。
は? 何だよそれ?
怪訝な顔を向けた俺に構わず、空缶を抱えて部屋の中へ入るヒロ。
仕様がなく、後に俺も続いた。