初恋の向こう側
さらに距離を縮め、上目づかいに覗きこんでいたヒロの瞼がゆっくりと降りる。
それを合図に俺は、その唇めがけ ──
「単純ー!」
顔を傾けたところで、閉じていたはずの大きな瞳が急に見開かれた。
「さっ ごはん食べに行こ! あぁ~お腹すいたー」
と立ち上がり歩きだすヒロ。
「はーっ!?」
思わずおもいっきり不服な声を出すと、
「そんな顔しないの。今度はホントに一緒に勉強しよ?」
振り返りニッコリ笑いかけられ。
「そんな挑発ばっかしてると、あとで知らないからな」
「その時は受けて立とうじゃないの」
なんて笑って歩み寄ってきたヒロが、俺の目の前で背伸びをする。
そしてチュッって音を立ててキスをした。