初恋の向こう側


そして迎えたクリスマスイヴ。

ラブロマンスものを観るはずだった映画は、恐ろしい猟奇殺人鬼が出てくるスプラッタホラーものになってしまい。

その帰り道にはミニスカートを穿いたヒロが、やたらと太腿をさすりながら「寒い寒い」と連呼していた。


「そんな短いスカート穿いてくるからだよ」

「だって梓真が喜ぶかと思って」


と思わず言葉に詰まる。

『そんなことない』って言ったらヒロのミニスカ姿を否定してしまうことになる。

確かにヒロの足は綺麗だしスタイルそのものがよいわけだが……


「でも本当に梓真が好きなのは寧ろスカートの中かもね」

「何を言い出すんだよ?」

「だって何も言ってくれないから」


小さい頃から築いてきた“幼なじみ”って関係は、時々邪魔になることがある。

ずっと知ってるから、素直に『似合う』とか『可愛い』って言葉が口に出しずらいんだ。

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