彼の愛は永遠だから、サヨナラは言わない

生きる意味

弘也の回復力には小林医師も驚いていた。


もしかしたら、このまま学校に復帰出来るかも知れない。


本当にそうなってほしい。


弘也に数学の勉強を見て貰っていた。


「千比絽は何処までバカなんだ。こんな問題で普通0点とるか。」


だって、全く分からない。


必死に説明する弘也を見てたら、可笑しくて笑ってしまった。

教え方はうまいけど、できの悪い生徒ですから。


「弘也は教師に向いてると思う。院内教室があって、入院してる子供たちが勉強してるの。小林先生に頼まれて、子供たちに野球の話をしたんだ。」


小さな子供たちが目をキラキラさせて、私の話を聞いてくれた。


最初は恥ずかしかったけど、真剣に私の話を聞いてくれる子供たちに本当に感動したのだ。


子供たちの中には弘也と同じ病気の子もいて、今度は弘也も連れていこうと思う。


何か言おうとすることばを遮られる。


「俺にも千比絽と楽しい未来が見えた。元気になって、将来千比絽を俺の奥さんにする。」


うふふ、弘也の奥さんだって。


奥さんになるにはもっと女らしくしないと駄目だな。


女らしい自分が想像出来ないけど。


何年か先にそんな未来が来て欲しいと心から願う。


この時弘也は何を考えてたのだろうか。











< 146 / 252 >

この作品をシェア

pagetop