彼の愛は永遠だから、サヨナラは言わない

さよならは言わない(弘也からの手紙)

弘也はありがとうと言って、婚姻届けを受け取ってくれた。

「後で記入するよ。」


今してよと言いたいのを我慢した。


私たちは何度も愛し合った。


「千比絽の坊主頭可愛いな。」


それって誉めてるの。


真央に話したら、最高の誉め言葉だよと言われたけど。


「千比絽は本当に綺麗になったな。」


うふふそうかなぁ、鏡を見てたら、弘也にこずかれた。


「千比絽、キモいぞ。」


可愛い彼女に向かって、それは酷くないですか。


誕生日の次の朝、弘也が中々起きて来ない。


寝室へ行くと、弘也はまだ眠っていた。


近づいて、弘也にそっと触れた。


弘也は冷たかった。


酷いよ、何も言わずに行っちゃうなんて。


声をころして泣いた。


弘也が本当にいなくなっちゃったよ。


バカ、バカ、あんなに愛し合ったのに。


弘也はさっきまで暖かったのに。


最後まで弘也はずるい。


本当にずるい男だ。












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