RED×HEAVEN
「兄ちゃん…」



喘ぎ声に似た声を聞いても、俺は加え続けている力を緩めなかった。



「あ…りが…と…」



何か生暖かいものが手の甲に落ちた。



俺は、涙を流していた。



その涙を自覚した時、それまで感じていたルナの脈が止まっている事に気がついた。



「ルナ…?」



ルナの首から離した手は、小刻みに震えている。



「ルナ…」



頬に触れてみる。



温かい。



まだ体温はこんなに残っているのに、もうこの身体は動かない。



これから徐々に失う体温はもう戻らない。
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