RED×HEAVEN
「社長…身体が…」



マユさんはより一層涙を流しながら悲痛の声を上げた。



自分の身体を見てみると、先程よりもぼやけて見えた。



俺は、このまま消えるのか…。



「待って…待って!やだよ!行かないで!」



こちらまで張り裂けそうだ。



「マユさん」



俺の声にマユさんの涙は反応し、ピタリと止まった。



「何があっても、生きて」



マユさんは一瞬目を開き、それから歯を食いしばった。



口を真一文字に結び、しっかりと頷いたあとに頬を伝う涙を拭いながらこう言った。



「アンタみたいに死んだりしねぇよ」



やっぱりマユさんはカッコいい。



ずっと変わらないで。



俺の口元は自然にほころび、そのまま気を失った。
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