赫に染まる
1.入り口
全国的にはちょっと早い学校祭が終わった7月。

白石妃沙羅(シライシ キサラ)が通う高校の生徒は夏休みまっしぐらだった。

消化授業が終わった教室で、少し高めの声が響く。

「えええええー!!!!のぞ告ったのー!!!!」

「しー!!!!キサラ声でかい!!」

だってぇ、と勢いを押し殺すように小声で弁解するのはキサラだ。

運良く教室に残っていた人数は少なく、のぞ(佐藤のぞみ)が告白した相手も居なかった。

キョロキョロと辺りを確認したのぞみはキサラの腕をつかみ教室を出て、こそこそと生徒玄関で靴を履き替える。

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