妖恋華

茶色のショートカットの少女。そして大きな瞳

それには見覚えがあった。

「あなた、森で……!」

目を見張る乙姫に少女は“しーっ”と口元に指を当てて静かにと指示する

それに頷き、乙姫は席へ腰を下ろす


「初めまして!私は東条凜。よろしくね乙姫ちゃん」

「よ、よろしく…!凜ちゃん」


今までとは違う敵意のない彼女に肩の力が一気に抜けるのが感じられる

微笑を浮かべる乙姫に対し、凜は口角を上げた

「やっぱり乙姫ちゃんはいい子だ」

「え?」

思わず聞き返すと凜は肘をつきながら話し始めた

「ここの人達…嫌な感じでしょ?まるで珍獣でもみるように乙姫ちゃんを見てさ」

乙姫はあははと苦い笑いを浮かべることしかできない

なぜなら否定はできないからだ

ここの人達は大人子供関係なく、価値を測るように自分を見る

「まあ…でも、仕方ないのかもね。乙姫ちゃんは“巫”なんだし」

「苗字のこと?」

思ったことそのままを口にすると凜は首を左右に振る

「違う違う。“巫”ってのは、そのまんま巫女様ってことだよ」

巫女様―――そういえば鬼瀬という人もそう呼んでいた。でも、それは華紅夜のことではないのか

ちらりと教卓の前にいる紅夜を盗み見る

一限目はちょうど鬼瀬の担当する現代文の授業らしい。黒板にはあの彼からは想像できない丁寧な字で内容が記されていく。




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