妖恋華

続くように教室全体にも視線をやる。この席から全体を見渡すのはたやすいことだった

視線を滑らせていくと、青の姿が視界に入った

様子がおかしかった気がしたのだが、こうして授業に出席しているということは大したことではなかったのか

単に鬼瀬の存在が気に入らなかったのだろう、と乙姫は安心したように息をついた

「何?龍牙くんが気になるの?」

乙姫の視線を辿った凜はニヤニヤとしながら乙姫に問い掛ける

その表情から何かしらの誤解があることを察した乙姫はぶんぶんと頭を振る

「そ、そういうのじゃないよ!?」

「へ〜」

否定しても誤解は解けず凜の表情はニヤニヤしたままだ

さらに乙姫が言い募ろうとしたとき、穏やかな声音で名前を呼ばれた

「神薙さん?友達ができたことは喜ばしいことですが、授業中は静かにしてくれると助かるのですが」

にっこりと表情こそ笑顔だが、目は“俺の授業を妨害するたぁ、いい度胸してんじゃねぇか”と黒い感情を物語っている

周りの生徒たちの視線も突き刺さり、気まずいやら恥ずかしいやらで乙姫は声を裏返しながらすいませんと頭を下げた

そんな乙姫を青は一瞬ちらりと見ると何事もなかったように再び前へ視線を戻した

そして紅夜を睨みつける。紅夜が姿を現したときからずっとこの調子だ

“お前も同じくせに”

また聞こえた。頭の中で何度も繰り返される。

黙れ。俺は違う。俺は――――


青は苦しみを耐えるように目を細めた




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