木苺の棘
私は、白いハンカチで
傷口を塞ぎながら言う。

「大丈夫です、これぐらい
 大した怪我じゃありません」

私の声に、貴方は私を見た。

私を、じっと見つめる
サングラスの奥の瞳・・・

一台の車が、店の前で
勢いよく停まる。

「レン、乗って」

見詰め合う二人、貴方は
私の名を呼ぶ・・・

「アリス?」

「たまき先輩・・・?」

嘘・・・

目の前に、本物の
たまき先輩がいる。

うそ・・・
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