木苺の棘
私達は、夜の街を
手を繋ぎ駆ける。

遠い昔・・・

こうして、私達は
手を繋ぎ

明るい街を駆け抜けた。

あの日と同じように
私は貴方に手を引かれ
貴方の背中を追いかける。

ポツリ・・・

ポツリ

空から雨が降り出した。

通り雨・・・

「雨」

貴方の声に、私は立ち止まる

ううん、これは雨じゃないよ

これは、八重の涙・・・

「アリス、濡れるよ」

貴方は私の手を引っ張る。

私は、首を左右に振り
先輩と繋ぐ手を解いた。
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