木苺の棘
間合いを詰めた巽は
銃口を、この場を仕切る
その男の頭上に付きつけた。

「何、いつのまに・・・」

「こういう時の為に護身用に
 ひとつ、チャカを持ってた
 方が宜しいようで
  
 どうせ死ぬなら
 冥土の見上げに
 お前も連れていくさ」

「撃つな、寄せ」

「もう、遅い」

銃声は鳴り響き・・・

男は、その場に倒れ
巽の胸を何発もの
銃弾が貫く・・・

傷口に触れた手が
どす黒く、濃い赤に
染まる。

その手を頭上に掲げ
血に染まった小指に

巽は、口づける・・・

「ごめんな、アリス」

閉じた巽の瞳から
一粒の涙が零れた。

息絶えた彼は今、眠る

深く・・・
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