木苺の棘
『亡くした恋人は
 
 忘れられない?』

私を力強く抱きしめる
敢さん、貴方から
大好きな香りが漂う。

携帯電話を握り締める、漣。

もう一度、電話をかける。

繋がらない電話・・・

「アリス、お願いだ
 どうしても、お前に逢って
 伝えたい言葉がある

 旅立つ前に、お前に」

『あいしとう・・・』

私、何してるんだろう。

記者の男性の言葉に
惑わされ、操られて・・・

敢さんの口づけから

顔を背ける私。
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