木苺の棘
「どうした?」

「イサミさん、ごめんなさい
 私、どうかしてる
 あなたは、タツミじゃない
 ・・・」

「そんな事はどうでもいい
 俺に触れたのはお前
 
 それが真実・・・」

貴方は、私の頬に両手を翳し
嫌がる私に無理やり口づける

私は顔を逸らし、しゃがんで
彼の腕から逃れた。

「ごめんなさい」

私は、駆ける。

振り返る事なく
家までの距離を・・・

そして、立ち止まり
大きく深呼吸をつく。

胸の鼓動を沈めるように・・・
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