木苺の棘
男性を見つめる、荒んだ瞳。

その眼力の凄まじい威圧感に
息苦しさを覚えた男性は
ネクタイを緩めた。

「行こう、モカちゃん」

「ごめんなさい
 大切なお話のようなので
 私、伺います」

「モカちゃん
 でも、大丈夫?」

私は、男性に微笑んで見せた

「大丈夫です
 今日はごめんなさい」

敢さんと並ぶ私の手に触れる
男性。

「モカちゃん、店で待ってる」

「はい、すぐに行きます」

私は、頭を下げてお客様と
別れた。

私の前を、スタスタと歩く
敢さんは何も話さない。
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