木苺の棘
チアキ先輩は、漣を
大切にしろと、そう
私に言ったのだ。

私は、微笑む先輩から
リングケースを受け取る。

小さくても
ずっしりと重い。

「チアキ、ありがとう」

「おう、じゃあな」

走り出した車が見えなく
なるまで、私達は
見つめていた。

チアキ先輩の言葉・・・

『過去の辛かった事
 全部、忘れちまえ
 
 ヤエの事も全部・・・
 ・・・
 お前らが幸せなら
 ヤエも幸せだ』

八重を忘れる事・・・

それはできないけれど

チアキ先輩の言葉のとおり 

私達が幸せなら

八重も幸せ・・・

なのかもしれない。
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