観念世界
「はぁ?」


 予想しない展開に今度は俺が驚く。妖精が入るくらい大きく開けられたまま硬直している口を気にかける事もなく、妖精はふんぞり返ってその薄い胸を叩いて見せた。



「大丈夫、あたし場を盛り上げるの得意だから!」

「盛り上げるじゃなくて盛り上がるの間違いじゃないのか?」


 ついどうだっていいツッコミを入れ、我に返り、




「っていうか、いいよ、教えてくれなくても!」
「いーって、遠慮しなくても!」



 妖精のほうは嬉々とした表情だ。



「いや、遠慮じゃなくて本当に嫌なんだけど…」



 心からお断りを申し上げたがテンションのあがった妖精の耳にはもはや届かない。早速講義が始まった。

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