自伝
持っていた花束を
病室の中の洗面台に入れて


「お花…ここに入れておきますね」


「有難う(笑み)
具合は大分いいよ。でも、ケガ人にムチャさせる奴がいるからさ」

ニヤリとした

「酷いですね!ケガ人にムチャさせるなんて」

私もニヤリとした。
突然、ドアが開いて子供達が入って来た

「パパ!ジュース買った!ストローストロー!」

そう言って早瀬さんにパックのジュースを差し出した

後からゆっくり奥さんが入って来た…。

「こんにちは…。」


奥さんは私に気が付き


「こんにちは…仲田さんでしたよね?」

「はい…。」

・・・・・・・・・
早瀬さんが間をつなぐように

「花を頂いたんだ。
花瓶に移してあげてくれないか」

一瞬洗面台に有る花を見て、そのまま早瀬さんのベッドの脇にある椅子に座った
「おい…せっかく持って来てくれたのに失礼じゃないか!」


「この花を入れる花瓶なんて無いのよ」

切り捨てるように、
静かに答えた。

子供達が少し怯えていたのに気が付き
病室の外へ誘った

何より、私が一番この場から逃げ出したかったから…

「ねぇ…お姉さんと遊ぼうか?」

目線を子供達に合わせてしゃがんだ。

子供達は

「うん!遊ぼー」

私は早瀬さんに

「よろしいですか?」
と聞いた

早瀬さんは

「・・・・わるいな」
と申し訳無さそうに言ってくれた。

子供達を一回のロビーへ連れて行き

「何して遊ぶ?ここは病院だから、走ったり大きな声を出しちゃダメだよ♪」


「うん!分かってる!」

2人とも早瀬さんにそっくりな顔つきでとても可愛いらしかった。

それから、かくれんぼをしたり手遊びをしたりしてた。

しばらくして奥さんがロビーへやって来た。

私が座っている隣に座り子供達を見つめながら

「あなた、早瀬と関係あるの?」

かなり直球…。
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