自伝
話しの途中でわたしも切り出した。


「綾…信じてくれないか…それは、絶対ないから。石田とはもう何でもないんだよ」


「そうですか…」

なんとなく、スッキリしなかった。
相手がゆかりだということもあるけど、一生懸命言い訳してくれてる早瀬さんに嬉しいとか、安心とかじゃなく今までとは違う思いがあった。

それでも、やっぱり早瀬さんと一緒にいることを選んだ。

それから、2、3日後にゆかりが会社に出社してきた。

いつも一緒にお昼に行ったり、おしゃべりしたりしてけど、あんな事があって2人共自然と避けていた。

帰りは早瀬さんの車で渋谷まで行きそこから自宅に帰る遠回りな帰り方は毎日続いた。

待ち合わせは、池袋の駅から少し外れたこじんまりしたレトロなカフェだった。
何時ものようにカフェに向かおうと会社を出た時、会社の前に早瀬さんの車が止まっていた。


「あっ!早瀬さんだ」

車に近づいたときに足が止まった
車にはゆかりが乗っていたから…。

「なんで…?」

その日待ち合わせの場所には早瀬さんは来ることはなかった
それでも、来ると信じて待ち続けた。

「あのぉ…閉店なんですが…」

店員が申し訳なさそうに言ってきた

「あぁ…すみません
今帰ります」

店を出ると土砂降りの雨だった。

「昼間は、あんなに天気だったのにな」

大きな街路樹の下に入り、少しでも濡れないようにした。

通り過ぎる車を目で追いながら早瀬さんの車を探した。

2時間がたち最終電車もなくなった。


「歩いて帰ろうかな…」

いつか見たドラマのように、靴を脱ぎ道路の中央分離帯を歩く。


真似したくなった。

靴は脱げないけど、中央分離帯の上を歩いた。

時間の割りには、車の量も少なくはなかった。

通り過ぎる車はみんな私を見て驚いていた。


中には
「どうした?よかったら、乗りなよ」


無視した


「イカレテるな」



・・・・そうかもね
< 66 / 284 >

この作品をシェア

pagetop