自伝
いつの間にか、梅雨も明けて毎日暑い日が続いていた。

7月の終わり頃になって、問題が発生した。

会社に突然早瀬さんの奥さんがやって来た。


「仲田!悪いけど、応接室来てくれる?」

総務の部長に呼ばれた。


「はい!」


「失礼します」

恐る恐るドアを開けると…
そこには早瀬さんと奥さん、何故か林田さんと総務の部長が勢揃いしていた。


「何事!?」

心の中で叫んだ。

早瀬さんが

「悪いな…仕事中に」

「いいえ…」

すかさず奥さんが

「カード会社から請求書がとどきましてね。ちょうど仙台の出張の後、退院の後、私は買ってもらった覚えのない洋服屋の明細…
全部、あなたなんでしょ?」


落ち着いた口調は余計に迫力があった。確かに奥さんの言う通りだけど、とっさにとぼけた。


「言ってる意味が分かりません。」

早瀬さんが奥さんに
「ほら…もういい加減にしないか、会社まで来てさ…うちの恥をわざわざさらけ出す事ないだろ!」

総務の部長が

「まあ、社内ではある事もない事も噂になりがちですから、請求書の件はお二人だけでゆっくり話されたら、いかがですか?」

今度は林田さんが

「まぁ特に仲田の場合は彼の直接のアシスタントですからね色々、噂になっても仕方ないでしょう」


なんで?なんでみんな知ってて、庇う言い方?
なんか…変な感じだった。

奥さんが

「分かりました。
でも、私はこの子の事絶対許さないから!」


「…」

席を立ち、帰って行った。

残った私達は
そのまま、席についていた。

すると、総務の部長が


「お~い 早瀬どうしたんだよ?お前らしくないじゃん。カード使ったらバレるに決まってんだろ~」

ネクタイを少し緩めながら、ボヤいた。

部長達って…グルだったの!?
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