自伝
「亮ちゃん…!?」


そのまま、カーテンを閉めてしまった。

いつの間にか早瀬さんの事でなく、亮ちゃんの事で悩んでいた。

でも…いくら考えても亮ちゃんの願いを叶えられる答えが出て来なかった。


究極の選択を突きつけられた状態のまま、深夜になった。


風がさっきよりも強くなってきた。


雨が窓を叩き始めた。


「さすがに、もう帰ってくれたよね…」


ドキドキしながらカーテンの隙間から、覗き込むと…


雨にうたれながら、私の部屋に向かって立っていた。


少し、怖く感じて来てまたカーテンを閉めて電気を消し布団に入ってしまった。

「いい加減帰るでしょ」


・・・・・・・・・

「眠れない!!!」


もう一度カーテンを開けて見た。

私に気が付いた亮ちゃんが、手を上に挙げて大きなハートを作ってた。


「ぷっ…」


思わず吹き出した。

気が付いたらタオルと傘を持って、家を飛び出していた。


「まったく、バカなんだから…こんな薄着で…」


「綾…絶対来てくれるって分かってた」


「しかも、自信過剰だし…」


大ざっぱにタオルで拭いてあげながら、涙が溢れてた。


「泣かせたりしないって言ったくせに…もう、泣かせてんじゃん…」


「綾!?」


うなずいた


誰かを思い苦しい心の痛みが何よりも私には分かってた。


亮ちゃんも今、私と同じ気持ちなんだと思った時、自然に体が動いてた。


私は、亮ちゃんの思いを受け入れる事に決めた。
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