Lift
椿が家に帰ると普段深夜にしか帰ってこない母親がいた。

大体、母がこんな時間に帰ってくるのは決まってあのことがあるからだ。

「何でこんな時間にいるの?」

答えは分かっていても違っていてほしいと願う自分がいる。

「・・・・・・。」

「また、引っ越し?」

なかなか答えを言わない母に嫌気がさした。

「うん・・・でも、今度のお家はとってもお金持ちなの。だから、お母さんは働かずにずっと椿の傍にいれるの。」

嬉しそうに話す母親の姿に苛立ちばかりが募っていく。

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