四十六億年の記憶
六日目


 「そろそろか」
目を閉じて呟く。
そろそろ、限界か。


 「寝ているのか」
「起きているのだが」
気が付けば彼女が向かいの席に座っていた。
「目を閉じていた、だけだ」
「ならいい」
そう言った彼女も欠伸を噛み殺した顔をしていて、眠そうだった。
「手を握ってはくれないか」
拒否などさせないが。
右手を差し出せば、彼女は両手で包み込むように握った。
冷え切った右手に熱が流れ込んでくるようだった。
「このまま握り続けて、極の氷が融けたりしないのか」
「さあ。融けたとしても海の水位が上がるだけだ」
「そういうのを大事というんだ。陸が沈む」
「ちょうどいい。君も一緒に沈んでしまえ。埋没願望が満たされるかもしれんぞ」
「土でなければ意味がない」
そうか、と私が呟けば、欠伸と共にそうだ、と返ってきた。


 私の手を握ったまま意識を手放した彼女の目元には、一日二日寝ていないくらいではありえないほどの隈が刻まれていた。
 一体彼女は何日寝ていないのだろう。


 ぱさぱさに乾いた彼女の髪を撫でながら息を吐く。
私が別れを切り出したら、どれほど彼女は傷ついてくれるのだろう。















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