四十六億年の記憶
七日目


 「さて、残念なお知らせがある」
いつもと変わらない顔、口調の彼が切り出した。
「お別れだ」
「そうか」
感慨などない。いつか来るとわかっていた。
 わかった、と理性が言った。わかりたくない、と感情が叫んだ。


 「時間が来てしまったんだ」
さっきとは打って変わって残念そうに呟いた。
「そうか」
これ以上言ってはいけない。破裂する。
ずくん、と腹が疼いた。
土を喰ったからだろうか。


 わかりきったことを聞いてしまう辺り、私の脳はまともではなくなってしまったようだ。
「死ぬのか」
「まだ死なない。少なくとも君が死んでしまうまでは」
 心中に巻き込まれるまでは、の間違いだろう、と小声で言葉を落とす。
「心中か。中々いい喩えだ」
感心したように言う。
「生きていたい。あなたが死んでしまうまで、わたしも生きていたい」
止まらない感情が決壊した。情けない。人前で泣いてしまうなんて。















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