優しい嘘−最低な兄に恋して−【上】
「アヤさん、お花なんかもってどこ行くんですか?」




後部座席にはきれいな花束が置いてあった。





「お姉ちゃんとこよ」


「えっ?お姉さんって」


「お墓。今日はお姉ちゃんの誕生日なのよ。来年は関西だから来れなくなるかもしれないでしょ?だから一度、雪穂ちゃんを紹介しておきたくて」


「いいんですか?あたしなんかが会いに行っても」


「いいのよ。早くお姉ちゃんから大雅を奪ってあげて。このままじゃ大雅が心配で結婚もしてられないわ」






アヤさんはほんといい人だよ…。


あたしなんかをお墓に連れて行ってくれるんだから。





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