空の彼方の君へ。



「お願いだから、俺を好きになって・・・っ」


「・・・ごめん」



傷つけてごめん。


悲しませてごめん。


気づかなくて、ごめん。



「ははっ、ありがとうって言えよ!・・・ごめんだけは、聞きたくなかった・・・っ」



ほら、また無意識のうちに傷つけてしまう。


魔法があったらいいのにね。


悲しいことだけを忘れられる、素敵な魔法が。



「・・・帰ろうか。沙希が風邪ひく」



そうやって、優しく接してくれるから。


泣きそうな自分より、私の心配をしてくれるから。


私は甘えて、弱くなっちゃうんだ。


弱い私でごめん。


あともう少し待って。


あともう少し経ったら、前に進めると思うから。


それまでは待っていて。




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