かけがえのないキミへ


目をまん丸くして親父を見た。
親父はまた煙草を出して、煙を出していた。


『い…妹?』


『あぁ。その再婚相手の娘さんだ』



いきなりすぎてわかんねぇことだらけだ。
俺はそんな親父に呆れたのか、ついつい鼻で笑ってしまった。



『…妹…ね…』


『まだ話の続きがある。その娘さんはお前とこの部屋で住んでもらう。お前一人じゃ広すぎだろ。この部屋』


こう言ってぐるりと見渡す親父。


……はい?お前何つった??
一緒に住む?俺が妹と?顔も名前も知らねぇ妹と?
ふざけんな…。


『いきなりそんなこと決めんじゃねぇ!!』


俺は立ち上がり、もう反対をする。
だが親父には俺の声が聞こえてはいないみたいだ。
ずっと煙草をふかしている。


完全にこいつには呆れた果てた。


…ピーンポーン…


するとインターホンの音が聞こえてきた。
俺はだれだと思い、受話器を取って映像に映し出されたものを見る。



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