かけがえのないキミへ


昨日の学校での内容とか、テレビの話など、綾音の回答がホワイトボード一面に書かれていた。

綾音の声は一度も聞いたことはない。
無理に声を出して欲しくないと思っているが、でもやっぱり声が聞きたい。


俺は冷たいフローリングの床をぺたぺたと歩きながら、洗面所へと向かった。
冷たい水を出して、リセットをする。
それからが、綾音の手作りの朝ご飯だ。


テーブルには、きれいな黄色をした目玉焼きと、ベーコンとサラダ。それにキツネ色をしたトースト。
これが毎朝の朝食。

飽きたりはしない。
だって綾音が作ったものなのだから。


『綾音、今日の帰りは?竜也と遊ぶの?』


トーストをサクッと一口かじり、綾音を見た。
綾音は牛乳を飲みながら、小さく頷いた。

付き合いは順調のようだ。
そんな綾音たちに俺は一人、嫉妬していた。



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