かけがえのないキミへ
もう少し前だったら、
俺は数センチの壁に、
苦しめられることもなかったのに─…
竜也の言葉に、衝撃を受ける。
でも、本当のことを言わなきゃいけない。
『どういう関係って?』
焦って、なかなか言葉が出ない。
周りのうるさい雑音が俺をかき乱す。
車のクラクション。
犬の鳴き声。
俺の心臓の音。
今までに見たことのない竜也の表情。
『一緒に暮らしてるんだろ?昨日見ちゃったんだよな。怜とあやちゃんが二人で仲良くこのマンションに入ってくところ』
塀にもたれ掛かって、竜也は俺を見ながら言った。
俺は言葉を必死に探す。
『…実は─…』
本当のこと言わなくては。いずれ言うことだったのだから。
でも、綾音が好きだ、ということではない。
『俺の親父が綾音の母親と再婚して、綾音は俺の妹になったんだ…』
小さな声で真実を述べる俺。
竜也に聞こえただろうか?