かけがえのないキミへ
あれからかなりの時間が過ぎた。
だけど俺は気持ちを伝えていない。
買ったときは冷えていたミルクティーが、今は俺の体温で温められて、少しぬるくなっている。
缶をくるくると回しながら、綾音のことを考えていた。
『ちょっといい?』
すると誰かに声をかけられた。
上を見上げると、サングラスをかけて、明るい茶色の髪の毛に、細身の体をした、男の人がいた。
サングラス越しから見える瞳がとても綺麗で、つい見とれてしまった。
『お、俺?』
戸惑いながら自分を指さす。
『うん。今暇?』
『…あ…えっと…はい』
さっき竜也に学校休むと言ってしまったから、特にやることもない。
なにかの勧誘か?
『手伝って欲しいんだ』
こう言って、彼はサングラスを外した。
彼の顔を見た瞬間、体中に電気が走る。
完全に、彼の瞳に吸い込まれていった。