かけがえのないキミへ
私が声を奪った。
綾音の声を─…
綾音…お母さん、精一杯あなたを愛すと誓います…
…私たちはこの地を離れた。
そして越してきた場所は、海の見えない都会の街。
小さなアパートを借りて、私は再び夜の仕事に復帰した。
綾音は私がいない間一人ぼっちで私の帰りを待っていてくれた。
寂しさで泣くこともなく。
日が経てば綾音の声が戻ると信じていたが、そんなことはなかった。
一度医者に見せたら、医者はこう言った。
『なにか、衝撃的なことをされたか、または言われて、声が出なくなったのかもしれません』
私はその言葉にハッとする。
夫の言葉…あの言葉…
声が戻らなくなってしまったら…
自分を責めた。
責め続けている今でも。
でも綾音には普通の子と同じように生活をしてもらいたいと思い、学校にも通わせた。
だけど声が出ないととても不便で、綾音はとても苦労をしていた。