かけがえのないキミへ


キミは先ほどより激しく首を振り、俺のカッターシャツを強く握り、下を向いてしまった。



『どうした?綾音…?』

握りしめる綾音の小さな手が小刻みに震えていた。それと同時に小柄な体も…震えていた…。


俺はそっと綾音の肩に触れ、綾音を自分の胸に抱き寄せた。


初めて会うのに、こんなことをしてはいけないことだけど、放っておけなくて…


綾音は俺の胸に寄りかかり、しばらくこのままになっていた。



『大丈夫、大丈夫』


綾音の頭を何回も撫で、綾音が落ち着くのを待つ俺。


綾音の前だと性格が変わるんだな、と今気づいた。
もしこれが綾音じゃなく、加奈や梨花だったら、俺は抱きしめてないだろう。

それだけ綾音は大事な人ということだ。


綾音はゆっくりと俺から離れ、またピースサインを作った。


『大丈夫?』



《ありがとう、怜は優しいね。一人で帰れるから》



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