another story
「…さゆりちゃん?」

“私”の声に、はっと現実に戻った。


「ごめん、何でもないの。
席行こう?もう先生来ちゃうよ、
ほたるちゃん。」


自分の名前に「ちゃん」をつけ呼ぶことに、強い違和感を覚えつつも、私は“さゆりちゃん”の席に向かった。


“私”は“私”の、
“三枝ほたる”の席へ、向かっている。

おそらく、さっきの質問の意味を考えながら。



もしも、私が望んだ通りのことが起こったのだとすれば、
私は“さゆりちゃん”として振る舞うべきなのだろう。


違う未来のために。
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