another story
「好きなんだ。」


私に向かって吐かれた言葉ではない。

そんなのわかっている。

だけど。


彼は、“私”の瞳を見て言ったのだ。

「好き」って。


私の心臓は、強く、大きく、早く、打ち続けた。


彼が、笑う。
“私”を見つめるその瞳に、“愛”を感じてしまう。


その瞳に、“私”は断りの言葉なんて、言えない。


朝から決めていた言葉が、ひとつも出てこない。


彼の瞳を見つめ返すと、泣きたいくらいに、胸がきゅん、ときしむ。


「私も、
好きです。」
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