another story
だけど、ホームはアナウンスや人の声で、先輩の声を聞き取るのもやっとだった。
まして、私の声は緊張のあまり自分で思ったよりも小さな声だったようだ。

「何?」

微笑んだままそんな風に口を開き、耳を私の方へ寄せてくる。


そんな仕草に、私の心臓はさらに早く大きく打つ。
心臓の音で、言葉が出てこない。


「2番線お下がりください。
電車到着いたします。」



先輩の顔や、ホームにいるたくさんの人達の後ろに、私たちが乗る電車が、小さく見えてきた。





ドンッ




突然、背中に強い衝撃を感じた。


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