another story
「あの…大変…だったね…」

三枝ほたるは、今にも泣き出しそうな小さな赤い目で私を見つめてくる。

そして言葉が出てこなくなったのか、それきり口をつぐんだ。


私はそれに、何故だか無性に腹がたった。
だけど、無理に笑顔を作り、言った。

「ありがとう。
でも、私は大丈夫だから。」


それを聞くと三枝ほたるは自分の席に逃げるようにして、駆けて行った。



それを見ていた三上さんが、三枝ほたるが離れるのを確認すると、口を開いた。

「あれで平岩先輩と付き合えるなんて、思ってたのかね。」
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