インターン・シップⅡ
何で…泣いてんだ?
何があったんだ??
数々の疑問が頭を占めていたせいですっかり油断していた。
掴んでいたはずの腕をあっさりとすり抜けたサツキちゃんはゆっくり顔を上げて、焦点の合わない目で俺を見た。
「……で……とう……」
雨音にかき消された小さなその声は俺の耳には届かなかった。
だけど色を失ったその唇は………
『今までありがとう』
…そう動いていた。
―――――――えっ…?
そう思った時には、ドンッッと体を突き飛ばされていて。
不意を突かれてよろけた隙にサツキちゃんは嵐の中へ走り出した。
「サツキちゃんっっっ…!」
そう叫んだ俺の声も……雨音にかき消されて。
ザアァァァ………。
もう無情な雨音しか聞こえなかった…―――――――…。