地味めな小説家と派手なケータイ小説家
「先生、お久しぶりです。遅れて申し訳ありません」
声をかけると、老人が振り向く


「あぁ、宇賀神君ですか。いいえ、大丈夫ですよ。弁当屋さんの方は順調ですか?」


「えぇ、なんとか」


「それはよかった。そうそう、この前雑誌に載せていた物はよかったですよ」


「えっ、読んで下さったんですか?」


「僕はね、僕の読んだ作品の作家しか呼ばないんですよ」

そう言って、老人はにこやかに笑った



瀬流木功夫(せるき・いさお)



齢70にして現役
小説界の重鎮の一人であり、この会の主催者でもある

そして、この座敷を陣取る一団は全員が小説家だ

大衆、純文、ライト、官能、ノンフィクション……――

様々なジャンルの作家が集まっている
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