合縁奇縁~それでも愛は勝つ
それからは、雄太との会話を心がけ、仕事を控えて家族の時間を増やそうと努力した。
って、それを努力、って考える時点で問題だ。
確かに、雄太の言う通り、日増しに似てくる雄太の顔を見ていると太一を思い出すし。
残業代や休日手当てが出ないことで、家計の収支はギリギリだし。
そんな不安に追い討ちをかけるように、夜は眠れないし。
だから、朝はいつもだるかった。
雄輝を保育園に送っていく時間もギリギリで、気持ちに余裕がないから連絡ノートも必要最低限の項目しか埋めることができない。
「天野さん、最近お疲れですね」
勉先生にそう声かけられて、「ええぇ……、ちょっと仕事が忙しくて」と、苦笑するしかできなかった。
それでも、こんなあたしのこと、気にかけてくれて嬉しかったよ。
そんな気後れを取り戻そうと、園主催の子育て懇談会なるものに参加した。
その日、あたしは同じクラスの木村裕樹ちゃんのお母さん、木村裕子さんと始めて親しく話すことになる。