合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「あ、服、乾いたみたいですね」
彼はすかさず立ち上がり、洗面室へと歩いていった。
あたしも慌てて後を追う。
――そうだよ、下着も洗われたんだった……
彼に一歩先んじて、お洒落なドラム型ランドリーマシーンから洗濯物を取り出した。
恥ずかしがるあたしに、「すいません、つい習慣で」なんて、彼は少しも気にする素振りもなかったけれど。
着替えを済ませ、すっかり乾いたあたしは、丁寧に彼に礼を述べ、マンションを後にした。
あの後、彼は極々普通に客人をもてなすホスト、に徹していたけれど。
――あれは何だったのかな?
外はもう、雨はすっかり上がり、雲間からは日差しも覗いていた。
まるで、狐につままれた心持だった。