in the dark†短編†
「あのっ!」

大きな声で呼ぶと、彼女はゆっくりと振り返った。

青白いほど、白い肌。

綺麗に整っている顔は、無表情で唇だけが赤い。

20歳くらいだろうか?でも少し、大人びて見えた。

彼女が、首を傾げるようにして私を見る。

「あ、あの! 私、その。事故に遭って……でも、まだ死んでなくて…」

何言ってんだろう。

支離滅裂だ。

「と、とにかくちょっとだけでいいから生き返りたいんです! どうしたらいいか知りませんか!?」

彼女はしばらく黙って私を見つめていたが、やがて、ふっと口角をあげて微笑んだ。
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