in the dark†短編†

SCENE3

「辛いことは、もう、お忘れなさい」

白い手が延びて、私の頬に触れた。

「貴女の友達は、貴女を許してなんてくれないわ」

ひやりと氷のように冷たい指が、肌を滑り落ちていく。

「もう諦めましょうよ。生きていても、いいことなんてないのよ」

彼女の両手が、私の首を捕らえた。

ぐにゃりと足元が歪む。

「一緒にいきましょう」

赤い唇が左右に裂けた。

徐々に皮膚がはげ落ちていく。

「行コウ行コウ行コウ」

骨が剥き出しになった、彼女の口が上下にカチカチ動いた。
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