in the dark†短編†
SCENE4

帰途

「ここ?」

シュウに促されるまま、私はそこに歩み寄った。

真っ暗の空間に、直径5メートルくらいの穴が、ぽっかりと口を開いていた。

沸き上がるように、白い光がキラキラと立ち上っている。

幾つもの、雪のような銀色の粒子が、光の中を泳いでいた。

スノードームみたい。

「口開いてるぞ」

くすっと笑って、シュウは光を指差した。

「ま、この中飛び込んだら帰れるから」

適当に言われて、私は眉を潜めた。
< 42 / 60 >

この作品をシェア

pagetop