いつか、桜の下で…




「俺は、油小路でしんぱっつぁんに見逃してもらった。
そして、逃げる時に俺は斬られた」




「でも、三浦君は総司で…」



震える口を必死で動かす。



「三浦ん中には、二人の魂が転生してんだ」




「二人…?」



「俺を斬ったやつと、総司の魂」



三浦君を見ると三浦君は、目を逸らした。



…本当なんだ…。




「三浦と初めて会ったとき、三浦は何も言わず、俺に頭を下げた」



三浦君が…。



「……」


三浦君は、黙ったままだった。



「俺もあんま気にしてなかったし、約束だけして終わった」




「…約束?」



「おう。
香織…いや、陽菜ちゃんを先に三浦が見付けたら、記憶が戻るまで、三浦が守るって約束」




私の、ことを…?



「っても、途中から俺も三浦も、陽菜ちゃんに思い出してほしくねぇって思った」



「なんで?」




「幸村さんが…思い出す度に苦しそうにしてたからだよ」



「三浦君…」



私は、三浦君の声がとても懐かしく感じた。




…………でも。




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