キミがスキ
久々の明日華との時間に、さゆりからの電話。





納得させたはずで、もう連絡もしてくるなと言ったはずなのに。




『歩椎? なんでいないの? 今日来る日だよね? なんで?』



「だからもう電話してくんなって言ったろ。


もうお前には会えないって、前話したよな?」



できるだけ優しい声で、さゆりに言う。




『え、それって一生? 無理。ほんとに死んじゃう』





「さゆりはもう大丈夫。



俺なんかいなくても生きてけるだろ?」



『…無理だよ』





「大丈夫。おばさんやおじさんによろしく頼むな?」




『やっ…歩椎ぃ…』




「さゆりは、強い子だ。ぜっったい生きてけるから。



心配すんな? 遠くからだけど、俺はちゃんとさゆりのこと見てるから」





できるだけ、できるだけ優しくさゆりに問いかける。



納得してもらえるように、割れ物を扱うかのように。



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