¥時給1000万円
…その時だった……
「……あれ…?」
オーナーが箱の底に手を伸ばした。
「…皆の衆…!……申し訳ないが……開票は終わってなかったようだ…。……この一枚で最後だ…!」
するとオーナーの大きな手に四つ折りになった白い紙がつままれていた。
「……名前は……………永井…!永井だ…!」
オーナーはボールペンで書かれた俺の名前を皆に見えるように掲げた。
ぼんやりとしていた顔を上げた。
永井の顔が少しずつ希望に満ちた表情になる。
よし…!まだいける…!!
これにより客の表情が一変した。
「…うそだろ…おいっ!」
「……はっ…ハッタリじゃないのか……!?」
次々と投票用紙を確認しにいく客の姿を見ると、永井は複雑な心境になった。
怒りに陥る者、焦ったり落胆する者が永井の顔を見ては感情をあらわにした。
………こんなとこで死んでたまるか…!