¥時給1000万円





バサッ…!






アルバイトの情報誌が大きな音をたてて落ちてしまい半ば面倒な気持ちで拾う…






ん…?…1000………万!?なんだこれ!?



ページ数が書かれている側に帯状に印字されている『時給1000万円』の字…
住所や電話番号が小さくその下に書いてあった。
詳細も書かれているが、ホームを出てから見ようと雑誌を丸めて持ち、電車が停まって扉が開いたと同時に駆け出した。

降りる人は少なく、未だに車掌が一人一人の切符を確認する改札口を出た。静かな駅前では辺りにまばらな足音ぐらいしか聞こえないほどであった。


盗みが絶えない『青空駐輪場』と呼ばれるところに停めた自転車に乗ってお馴染みの道を通って帰る。
空は茜色に染まり、住宅が並ぶ坂道では魚を焼く匂いが漂っていた。

坂を上りきると犬を連れて散歩をしている人たちが何人か通る交差点を曲がるとすぐ青い屋根の自宅が見えた。
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