¥時給1000万円

2、3回コールが鳴ると…
「……お電話ありがとうございます。居酒屋 ネックは只今の時間は営業時間外となっています。ご用件のある方はお電話番号とお電話に応答可能な時間も添えてメッセージをお入れください。こちらから折り返しお電話を差し上げます。それではメッセージをどうぞ…ピーッ………!」
「…あっ…あのぅ…」
初めての留守電の吹き込みにとまどってしまった。

「…バイトを探していて…偶然アルバイトの情報誌でこちらのお店があって…それでいろいろと詳しいことを…時給のこととか仕事の内容とか…お伺いできればと思ってお電話差し上げたのですが…夕方以降ならほぼ電話に出られますのでそちらがお忙しくない時間帯に折り返しお電話をください…!電話番号は……」


緊張の糸がほどけた…

のちのち自分の言ったことを思い返してみると敬語がめちゃくちゃだった…。

きっとダメだろうなぁ…

「…ほら!夕飯できてるよ…!」
母親の声がかろうじて聞こえた。

いつ頃電話は来るのだろうか…?



< 8 / 392 >

この作品をシェア

pagetop