涙の雨

山田はジッと俺を見つめてきて

俺も目線をそらせずにいた




あの独特な雰囲気


たぶん経験した事ある人はわかると思うけど



何かを待つような


もしかして…という山田の考えてる事が、空気に伝わってきて…

こう、うまく書けないけど



山田が俺に伝えたい事が、何となくわかってしまった







「―好きなんだよ、遼太が」









今までそういう素振りを見せた事、一度も無かったから

やっぱり驚いてしまった



「セフレの男と別れたのも、遼太が好きだって気づいちまったからだ」


真剣な表情で話す山田


俺は驚いたまま何も話せない



「尚輝と付き合ってるって聞いた時はショックだったけど、今はフリーだし遼太は誰のモンでもねぇ」


そう言うと


山田は俺の手をギュッと強く握った




「尚輝を忘れられないなら俺が忘れさせてやる。ゆっくりでもいいから、俺を好きになって欲しいんだ」


真っ直ぐに見つめる山田の視線が



本気なんだって強く感じた



「好きだ遼太」







シーンと静かな公園に響く水の音






目の前にあるのは


奇しくも望月と別れ話をしたあの噴水だった
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